「先を読む頭脳」
羽生さんの本を読むのは好きですが、この本はそれほど参考になることはなかったように思います。知りたかったのはタイトルどおり、どうすれば先読みできるような能力を育成できるかということだったので、Ⅲまでしか読んでいません。再確認したのは、解説者による次の2つ。
成功した人が居ると、「どうやって成功したの?」と尋ねてみたくなるのは人情ですが、その人がその方法で上手くいったからといって、他の人も全く同じ方法で上手くいくとは限らないのです。要は、自分がどんな学習上の問題を抱えていて、どうしたらその問題を解決できるのかを自分で判断して、自分に合った方法を見つけていくことが肝心なのです。
すぐに答えを求めたがる人は、自分の仮説と相手の解を照らし合わせるというプロセスを省略するので、自分にとって受け入れやすい解だけを選択的に受け入れるだけのことが多く(つまり、自己の仮説を棄却して再構築することが少ない)、結局、自分なりの方法を見出すことができないように思います。
例えば、いつも車の助手席に乗って連れて行ってもらっている場所に、いざ自分でハンドルを握って行ってみようとすると意外に道順を覚えていなかったという経験はないでしょうか?(略)これらも、能動的学習を伴っていないために使える知識にならなかった実例であると言えます。
私は「構想する」ときには手書きするように指導していますが、数値分析の場合も、ただ見ているだけでは気付けないことが、手打ちすると気付きやすくなります。
示唆があったのは「流れ」についてです。ググったところ「流れに掉さす」という言葉を、私も本来の意味と取り違えていました。正しくは、良い方向に進行することを言うようです。
私が誤用していた方の、「流れに逆らう」ことへの戒めとして、本書の「流れ」を受け止めました。「流れ」は大きな一連の動きなので、うまくいかないときに短期間で方向を変えようと思っても、確かにうまくいかないだろうと思います。うまくいかなくなった「流れ」を振り返り、それをどういう時間軸で変えていくかを考えることが、経営においては重要なことであるように感じました。