「ディープラーニング活用の教科書」



情報収集のため購入して、斜め読みしました。紹介されている国内事例は、その目的によって次のように大別されるでしょう。

  1. 将来の競合優位性への対処
    • オムロン:自動運転車向け車載センサー
    • ホンダ:自動運転
    • キャノンメディカルシステムズ:CT画像のノイズ成分除去
  2. 熟練労働者や労働力の不足への対処
    • サインポスト:無人レジ
    • エルアンドエー:無人受付
    • 武藤精密工業:不良品の自動検知
    • 東京無線協同組合:タクシー需要予測
      • NTTドコモのリアルタイム需要予測技術を使用
    • イシダ:食品盛り付けロボット
      • DeepXと共同開発:松尾准教授の紹介
    • フジタ:油圧ショベルでの自動掘削
      • DeepXと共同開発:松尾准教授の紹介
  3. コストダウン
    • VAAK:万引き防止
    • ALSOK:万引き防止
    • 大東建託:画像の自動分類
    • メルカリ:商品名・カテゴリーの自動分類
    • オークネット・アイビーエス:安定器の判別
    • 双日ツナファーム鷹島:マグロの尾数把握
      • ISIDが開発
    • リクルートホールディングス:原稿の校閲
    • 八千代エンジニアリング:河川護岸の損傷等の点検
      • ブレインパッドが開発
    • 東京電力パワーグリッド:送電線の異常検知
    • フジクラ:ウエハ外観検査
    • 川崎地質:路面下空洞探査
      • 富士通のディープラーニング基盤サービスを使用
    • ファナック:逆流防止弁の摩耗状態の評価・予測
    • ソネット・メディア・ネットワークス:広告クリック率の高低予測
      • 東大 山崎准教授との共同開発
    • NHKアート:白黒映像のカラー化
  4. スピードアップ
    • 損害保険ジャパン日本興亜:保険見積もり
  5. マーケティング分析・予測:費用対効果が分かりにくいか、限定的
    • トライアルホールディングス:店舗内の購買行動分析等
    • 日本コカ・コーラ:消費行動分析
      • ブレインパッドが分析
    • ビデオリサーチ:CMの効果予測
      • 東大 山崎准教授との共同開発
  6. 新サービス:ビジネスとしての成立可否が現時点不明
    • FiNC Technologies:カロリー計算、姿勢判定
    • データグリッド:アイドル顔の自動生成
    • SPectee:ニュース読み上げ
    • LINE:スマートスピーカーのキャラクター化
    • ユニロボット:対話型ロボット
  7. 社会的意義
    • NTTデータ:手話通訳ロボット
      • LeapMindと学習済みモデルのアルゴリズムを共同開発
    • 順風路:交通需要の予測
      • 東芝デジタルソリューションズと共同開発

「ディープラーニングの2018年はインターネットの1998年ごろに相当する」のだとすれば、AIバブルはいずれ弾けるでしょう。ネットの創成期と同じく、直ちに大きな投資効果が見込めるとは考えにくいため、人月300万円という相場が受け入れられる市場は一旦縮小するかもしれません。
一方で、ネットバブルの前に起業され、ネットバブル崩壊後も大きく成長した幾つかの会社を思い浮かべれば、AIバブル崩壊後も成長を続ける会社が見えてくるのかもしれません。

AIというと、どんなかたちのデータでもぶち込めば何か出てくる打ち出の小槌のように勘違いしている人が多いですが、
「正規化・整形されていて、AIが読み解くべき情報のみに整理されている」
「データのアノテーション(データのタグ付け)の質が高い」
のでなければデータとして使えないことを私自身も再確認しました。