「リベラルアーツの学び方」
リベラルアーツの効用について学問的にまとめている内容を期待したのですが、ほとんど自身の経験から述べているだけで、根拠の権威性が却って乏しく感じられました。また、アウトプットを重視して社会的影響力の大小で選択すべきという考え方にはがっかりしました。リベラルアーツにおいては、最初から出口を明確に意識しすぎない方がよいと私は思っているからです。
この本はリベラルアーツとは何かを学ための本ではなく、リベラルアーツへの入口のブックガイドと考えたらよいでしょう。「現時点では、人間と世界の成り立ちの大筋をとらえるためのリベラルアーツ、そのような意味での総論的リベラルアーツとしては、自然科学のほうがより確実なものを提供している」との考えには同意しますので、自然科学のブックガイドの章は参考になりましたが、社会・人文科学、思想、批評、ノンフィクション、芸術に関しては他にもっと参考になるブックガイドやガイドブックがあるので読んでいません。