「なぜ選ぶたびに後悔するのか」

「サブリミナル・インパクト」で触れられていた本。絶版になっていますが、読む価値のある本です。

この本の主旨は、「過剰な選択肢が心理的に負担をもたらし、そのうえに、後悔、地位へのこだわり、順応、他人との比較、マキシマイズといった要因が絡み合って、負担が増幅している。中でも大きいのは、手に入るかぎり最高を求める欲求、マキシマイズの傾向だろう」ということで、プロローグと最終章にその対策が書かれています。私はサティスファイサーよりマキシマイザーの傾向が強いですが、特に気に留めておくべき対策は、「周囲のひとがどうしているか気にしない」ことだと再認識しました。

この本を読んで感じたのは、確かに一見、今日の世界では選択肢は無限にあるように見えますし、一般的には実際そのように感じ取られているのでしょうが、過去に存在した階級的な制約は一見分からないだけで現存しており、それが期待をエスカレーションさせ、また裏切らせているようにも思われます。さほど秀でたものもないのに自己承認欲求が強かったり、ジョブホッピングしたりしている人はこの本を読んでみるとよいでしょうが、そのような自覚のない人が多いので、この本の内容を謙虚に受け止めることもきっとできないでしょう。