「パーキンソンの法則」
60年前に主に行政システムについて書かれた本ですが、60年経っても人間は変わらないものだと気付かされます。
パーキンソンの法則とは、「仕事の量と役人の数との間には何の関係もないのであって、雇用されるものの数は、その仕事が増えようが減ろうが、あるいはまた全然なくなってしまおうが、そんなことにかかわりなく、ひたすら(中略)増大する」のであって、それは、「(1)役人は部下を増やすことを望む。しかしながら、ライヴァルは望まない。(2)役人は互いのために仕事をつくり合う。」という素因に求められるというものです。これは現在でも、役人然とした会社員(会社員の延長にすぎない役員を含む)にもよく当てはまるといえるでしょう。
もう一つ企業の意思決定でよく目にするのが、「議題の一項目の審議に要する時間は、その項目についての支出の額に反比例する」という「凡俗の法則」です。大金を投資するM&Aにおいて金額に応じた十分な検討がなされていないのを目にすることが多い一方で、ちまちました経費の削減にはうるさく口を挟む役員や上級管理職は現在でもよく見受けられます。
他にも、この本で取り上げられている「人選の原理」「恩給点の解析」は、採用と定年に関する今日まで続く課題について改めて考えさせるものとなっています。
絶版のため中古でしか入手できませんが、一読して損はない古典といえるでしょう。