JPSEDシンポジウム2018 「「社会人の学び」を解析する」
8月7日(火)に開催されたリクルートワークス研究所のシンポジウムに行ってきました。当日配布された分析報告書「どうすれば人は学ぶのか-「社会人の学び」を解析する」はWebでも公開されています。
調査結果を端的に言うと、
- 自己学習している社会人は1/3(33.1%)しかいない
- 正社員で36.9%、非正社員で27.0%
- 学生時代から学習習慣がある人は12.6%しかいない
- 学習しない理由は特になく、学習しないことがデフォルト
- 「忙しいから」は15.0%、「費用負担が重いから」は7.7%にすぎない
- 自分から学ばない以上、企業が主導して学ばせるべき
- 自己学習を継続させるためには、「評価」や「学びを活用する場」を与える必要がある
- 自己学習を継続する人は4割強(42.4%)にすぎない
というものです。
興味深かったのは、OJTを受けている人よりも、Off-JTを受けている人の方が自己学習をしているという分析結果。ここでいうOff-JTは「通常の業務を離れて、教育・研修などを受講した」ということなので、「外で学ぶ」きっかけを与えれば自己学習する人もいるということでしょう。
しかし、きっかけを作って強制的に学ばせ、学習が継続されるような仕組みを作るというお膳立てまでしてあげないと学べない人が、本当に企業が期待する人材に育つのだろうかという疑問が残ります。企業としては投資になるので、費用対効果が見込めない限り二の足を踏むでしょう。狭義の学習にせよ他の習熟を要する技能にせよ、最初の努力を惜しむ人、努力の継続を惜しむ人は、結局何も達成することができないのではないかと思います。そしてそうした努力は高校までにある程度経験済みであって、一定の年齢になってから改めて身に付けることは難しい能力なのではないでしょうか。そういう意味では、一定水準以上の学歴を持つ人に対して施策を打った方が、費用対効果は見込めるのではないかと思われます。それなりの学歴がありながら、さしたる努力もせず進歩もしない人というのも相当数いますから、そのような人たちに対する打ち手にはなりうるでしょう。ただそれでも、若いうちに対処しないと、歳を取ってからでは難しいように思われます。今回の調査報告は、あえて年齢・職位・学歴といったものを捨象していますが、それらとのクロス分析が見てみたいと思いました。