「「量子論」を楽しむ本」

量子論を全く知らなかった私にも大変楽しく読める内容で、一気に読むことができました。とはいえ、電子が粒でもあり波でもあることや、観測される前は電子がさまざまな位置にいる状態が「重ね合わせ」になっていて、観測すると「波の収縮」が起きて一ヶ所で発見される、というのは直観的にイメージしにくく、量子論なるものをどこまで理解できたのかは自分でもよく分かりません。「量子論は、物質や自然がただ一つの状態に決まらずに非常にあいまいであることを、そしてあいまいさこそが自然の本質であることを私たちに示した」というのは大変興味深いものの、一方でアインシュタインの言うとおり、「量子論の言い分が正しいのであれば、月は我々が「見た」からそこにあり、我々が見ていないときにはそこにいないことになる」というのは、やはり理解しようにも容易には理解しがたいことです。このように難解な内容を分かりやすく解説しているこの本のライターには、敬意を表さざるをえません。